世間話

アスペルガー症候群の本には、
「世間話が出来ない」とか、
「返答もハイ、いいえだけで、それ以上の会話が無い」
などと書かれていることが多い。

私に関してもそれは当てはまる。
が、
「それをなんとも思わないように見える」
と書かれているが、それは違う。
おそらく、多くのアスペの人が、
何とか会話しようと、脳の中で必死にがんばっていると思う。

「良いお天気ですね。」
と、言われ、
「そうですね。」
と返事をしてもそれ以上の言葉が出てこない。
何とか気の効いた、いや、
そうじゃなくても何か言葉を言おうとするのだが、
池に石を投げ込んだときの魚のように、
言葉が逃げていってしまう。
普段から、こう言われたらこう返事をしたらいいのか、と、
考えていても、いざその場面になると言葉が出ない。
それでも相手に不快な思いをさせたくないと、
笑顔を作るが不自然なのだろう。
本には「ニヤニヤしていることが多い」と書かれている。
もしくはなんでもない風を装うとするが、本には、
「それ以上の会話が無くても平気そうに見える」と書かれている。

私に関しても、私の知るほかのアスペの人にしても、
かなり脳の中で必死に努力していると思う。
どうして自然に言葉が出るの?
何故そんな風に次々に会話が出来るの?
と、不思議でならなかった。

今では一見普通に会話しているアスペではない人々も、
会話に困ることがあるらしいと気がついた。
「お天気・健康・子どもの話」は親しくない人とでも共通の話題だ。
それらに気がついてからは、
昔よりはましになったと思う。
また、何か言われたら、
相手の言葉をイントネーションを換えて言うのもいいらしい。

それでもやっぱり私は
世間話や普通の会話と言ったものが苦手だと思う。
緊張したり、ストレスがあるとまったく言葉が出なくなったり、
逆にとにかく早口で話しまくったりしているが、
自分ではどうにも出来ないことが多い。

基本的に一人が好きだから、
沢山話をしたいわけではない。
相手に失礼のないようにと思うだけだ。
他の人から見ると判らないかもしれないが、
自分なりに努力し続ける日々である。


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