暴走する脳

これは発達障害を専門とする医師に、
アスペルガー症候群の特徴だと言われた事柄である。
けれど、私は今でもそれは何かの間違いで、
ほとんどの人が私と同じように
脳を機能させているのではないかと考えている。
いや、思っている、のだ。
根拠は無い。
そう思う理由は、私には私の脳の働きを知ることしか出来ないからだ。
そして、それが私や他のアスペルガーの人たちだけに起こる、
特殊なことだとは思いたくないと言う気持ちもある。
なぜなら、私はずっとアスペルガー症候群だと気がつかずに、
普通に生活してきたからだ。
もちろん、脳が混乱することはあった。
しかし、それが異常だとは知らなかったので、
不自由だと思ったことは無い。

私は脳の中で、3つほどのことを同時に行っている。
あるいは、脳が勝手に働いている。
例えば、今現在目の前の人物と話をしているとしよう。
まず、私の脳はその人物と会話するために使われている。
それと同時に脳の中で、勝手に過去の会話を脈絡無くリフレインしたり、
架空の会話をしている場合もある。
そして更に同時に、
何の関係も無い言葉や音楽を勝手にエンドレスで流している。
もちろん何かを食べたり、
手仕事をしたりしながら会話している場合もあるから、
脳は更に多くの仕事をしているのだろう。

他の人たちは本当にそのように脳を使っていないのだろうか?
それとも、これはアスペルガーの特徴ではなく、
私だけに起こる現象なのだろうか?

頭の中が、空想の世界に引っ張られすぎることもある。
子ども時代はそうだったように思う。
けれど現在は、目の前のことに対処しつつ、
脳が勝手に動いて架空の会話をしていたりする。

医師にそう指摘されて、私は混乱した。
私は異常なのか?
普段から疲れやすいと思っていたのは、
それでなくてもエネルギーを大量消費する脳を、
そんな風に使っているからなのか?

そして、私は試みた。
脳を一つのことだけに使うように。
ためしにラジオを聴くことに集中してみた。
すると私の脳はラジオを聞くと同時に、
その内容をほんの少しだけずらして再生しだした。
頭の中ではエコーがかかっているように聞こえる。
私が記憶しようとしているわけでも、
再生しようとしているわけでもない。

それからもしばらくの間、
脳を一つのことだけに集中させようと試みた。
その結果私に訪れたのは、
疲労と心労、そして眠れない夜だった。

 

 

ブログに添えた文章

「これは私がアスペルガー故の症状と思っていることです。
ですが、アスペについて書かれた本には出てきません。
医師には、アスペだからだと言われました。

頭の中で起こっていることは、妄想なのでしょうか?
それゆえにアスペは統合失調症と誤診されやすいのかも知れません。

このようなことが起こっていても、
私はずっと普通に生活してきて、
この状態が普通だと思ってきました」