鍼灸治療

東洋医学の表ページにも書きましたが、はり治療と灸治療は発達した地域が違います。

歴史が古く、2000年以上前の本にも記載されているそうです。

 

元々の経験療法に東洋哲学的な要素(陰陽、五行、気)が加わり、体系化され、近年は自然科学的データも集積されています。

海外にも多く広まっていて、保険適用もされる国もあります。

 

診断と治療

東洋医学の診断=「四診」をし、原因を特定し、「証」をたて、施術をします。

 

鍼灸治療のしくみ

人間の体には正常に保とうとする働き(恒常性)があり、体の表面にはりや灸で刺激を与えるとその部分を守ろうとしたり、興奮状態を鎮静化させようとしたりする働きがあります。

鍼灸治療はその働き(生体反応)を利用したもので、病気の治療や予防に役立てます。

 

経絡と経穴

経絡=気と血の通り道。身体の内側(五臓六腑)と外(頭、体幹、四肢、体表)を結んでいる。

体の隅々を巡り、身体の全ての機能を調整している。

 

経穴=いわゆるツボのこと。経絡上にあり、気が体の内外を出入りするところ。

ここを刺激すると、経絡を流れる気、血が動き、臓腑が活性化すると考えられている

 

西洋医学と鍼灸治療

近年は診察や治療に西洋医学的な分析も融合して行われています。

WHO(世界保健機構)が鍼灸治療が有効とされる疾患を認定しています。

パーキンソン病などに鍼灸治療が有効だからと治療院を紹介される例などもあります。

 

保険適用

日本では以下の病気に対し、鍼灸やマッサージの保険適用がされます。

神経痛、リュウマチ、腰痛、五十肩、頚腕症候群、頸椎捻挫後遺症

他にも適応される場合があるそうなので、医師や鍼灸師に聞いて見ると良いでしょう。

 

但し、私の経験から言うと、保険適用されると金額は少なく済んでも、決め事などにより満足が行く治療が受けられない場合などもあり、健康保険を利用するのが必ずしも良いことではないと思います。


めん眩

治癒へ向かう時、一時的に悪化したように見える症状のことです。

自然治癒力が正常になり、抵抗力が活発化したため、体の中で病気と抵抗力が戦っている状態です。


病気や症状は身体の中に不要なものがあり、それを身体の外に出すために起こるものだからです。

鍼灸治療の場合は強い眠気やだるさなどが起こりやすいようです

血流が良くなり一時的に痛みが増す場合もあります(ごくまれに)

鍼灸治療にはめん眩が起こらないようにする技(返し針など)もあります


はり治療

多湿で発酵食品を多く食べる南方で、関節疾患や、痙攣・麻痺の治療として発達しました。


はり治療の仕組み

一般的に金属の針を身体に刺して刺激を与え、生体反応を起こさせ治療、予防します。

針を刺す部位は基本的に経血(ツボ)です。

ツボを刺激すると経絡を伝わって関連する臓器や帰結の流れを調整します。

 

はりの種類

流派により指す針の本数や、刺す部位、順番、針の種類などがまるで違います。


髪の毛よりも細い金属はりや、15センチほどある太い中国針など色々あります。

子どもにも使える、皮膚の表面を刺激するだけの小児鍼

膏薬のようなものに小さな針がついていて、しばらくはったままにしておく鍼もあります


最近は刺さないはり治療と言うのも出てきました。

病気だけではなく、美容や老化防止にも鍼灸が利用されています。

 

私は経験上から細い針を使って施術するところをお勧めします。

細い針だと刺してもほとんどわからない場合も多いです。


灸治療

北方地域で発達し、体を温めることで冷えからくる症状を和らげる療法です。

 

灸治療のしくみ

身体に温熱刺激を与え経絡(気と血の通路)や経穴(ツボ)を刺激して関連する臓器や気血の流れを調整することで、治療・予防します。

恒常性機能(生体反応)を利用しているのははり治療と同じです。

 

灸に使われるもぐさについて

もぐさはヨモギの葉から作られます。

ヨモギは身体を温めるだけではなく、殺菌、消炎、保湿効果に優れ、止血作用もあります。

西洋でも昔から女性の月経、分娩、婦人科系疾患に使われてきました。

ヨモギの葉には良い香り(チネオール)があり、ビタミンA、B1、B2、C、カルシウム、鉄、クロロフィルが多く含まれています。

 

クロロフィルはヘモグロビンの生成を助け、造血を促進します。また、インターフェロンの作用を増強し、癌を抑制するそうです。抗菌作用、解毒作用もあります。

 

純度の高いもぐさは着火しても60度前後までしか温度があがりません。

 

灸の種類

灸のあとを残す有痕灸と、痕を残さない無痕灸があります。

 

有痕灸は灸をした部位の皮膚や組織を破壊し、かさぶたがはがれ落ちるまで待ちます。

強い熱刺激を与えて生体反応を起こさせ、防衛機能を高めます。

子どもや刺激に敏感な人、体力がない人には向かないようです。

有資格者に施術してもらうのが望ましいです。

 

無痕灸はもぐさの輻射熱で温熱刺激を与えます。基本的に熱さを我慢する必要はありません。

薬局などでも売っているものが一般的で、自分で使うことも可能です。

日ごろから自宅での健康管理に利用できます。

 

私はどちらのお灸も経験しています。

私の場合は有痕灸をする治療院ではずっと治らずにいた坐骨神経痛が治りました。

が、それ以降はかえって施術後に疲れるようになったので、治療院を変えました。

治療院へ行く以外にも、日ごろから「○年灸」タイプのものをツボの本などを参考にしながら利用しています。

 

応用として貼るタイプのカイロをツボに貼って、風邪予防、冷え症や腰痛ケアなどに利用しています。