社会復帰・病後リハビリにお勧めする事

2015.9 ブログ掲載

 

Terraが開店して1年半足らずですが、
精神疾患などでお医者様も匙を投げるような状態だったのに、
健全なご自分を取戻し、あるいは新しい自分になって、
世の中へ出て行かれる方が増えています。

最初は目を合わせることも、ちゃんと座ることも出来なかった方たちが、です。
活き活きと、本来のご自分を取り戻して、
ご自分の居場所を作り始めています。

ホントに、人間ってすごいなと思います。

そんな病後、社会へ復帰される方へTerraでお勧めしていることがあります。
それは「家事」です。

家事を自分の「仕事」としてやることです。

掃除、洗濯、料理、買い物、アイロンがけ等々。
普通の日常の家事です。
人間が生きていれば必ずやる必要のあるものです。

それは何故か?について書きますね。

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「家事の効用」

・体力が付く

家事って結構体力使います。
きりがない仕事です。

だからこそ、療養中に落ちた体力を取り戻すのにいいのです。
今は家電がたくさんあって、水汲みから始まった時代とは違いますから、
適度に身体を動かせます。

・負の恒常性を断ち切る

これは前回書いたことですのでまずはそちらをご参照ください。
簡単に言うと、今まで「病気が普通の状態」になっていたのを、
「健全な状態が普通」に戻すために毎日の生活をコツコツ積み上げて行く必要があるのです。


社会へ出て仕事をしたら、
自分の身の回りのこと+仕事となり大変ですから、
まずは自宅でやった方が良いと思います。

・時間管理能力が付く

何時にご飯を食べて、その用意を何時から初めて、
その材料を買いに行くのが何時で・・・、
と、料理ひとつとっても時間の管理が必要になります。

家族がいればその家族のスケジュールに合わせて動く必要があります。
決められた時間の中でどれだけ仕事をするか?
これは、社会人であれば普通に求められる能力です。

・自分の体力の限界を知る

病後は病気になる前の自分のイメージがあるので、無理をしがちです。
今の自分はどのくらいの期間休んでいて、どのくらい体にダメージを受けているのか?
それを知る必要があります。

いきなり社会に出てあっという間に限界が来ると、
精神的ダメージが大きいですので、
まずは家事をしながらそれを確認しましょう。


・自分以外の人との「おりあい」を付ける方法を学ぶ

「うちの母は専業主婦だからやる必要がない」
とおっしゃる方がいますが、
これはあくまでリハビリなので、ご家族に協力してもらいましょう。
「やらせてくれない」と言う言い訳もやめましょう。

仕事を分担し、自分の仕事を責任持ってやり、
大変そうならお互いに助け合う。

これは社会人なら当たり前にやることです。

自分が体調などの関係で出来なさそうなら助けを求める必要もあります。
仕事は仕事だけしていればいいというものではありません。
他の人と連携して、コミュニケーションをとる必要もあります。
ご家庭での家事はそれも学ばせてくれます。

「社会がもっと、理解する必要がある」
と、他者が変わることを求める前に、
自分をなんとかする必要があります。


・金銭管理能力が付く

当然のことながら、家事にもお金がかかります。
湯水のように使っていいならだれも苦労はしません。
決められた金額の中でやることをやる必要があります。

・規則正しい生活が身につく

朝起きて、
朝~昼は活動的に働き、
夕方から夜にかけリラックスし、
夜は眠る。

いきなり社会人になったらその当たり前のことをしつつ、
自分の身の回りのことをしつつ、
仕事へ行かなければなりません。

でも、病気や引きこもり、ニートだった方は、
この出来て当たり前のことをやってこなかった方も中にはいらっしゃいます。

規則正しい生活が出来ないと社会へも出ていけません。
何もない状態でそれを作ろうとしても難しいと思います。

家事をすることで一日を規則正しく「運営」することが出来るようになります。

・休んでも他者に迷惑をかけない

病後ですから無理は禁物です。
休みたい日もあるでしょう。
お給料をもらいつつ、仕事を休んだらそれは同僚の方に迷惑をかけます。
家事はとりあえず、休んでも大丈夫。
ご家族は困るかもしれませんが、
それを迷惑と言うなら、それはその人に問題があります。

但し、休みすぎないように。
しっかり休んで、また仕事に戻ると言う事も出来ない人が、
社会復帰できるはずありません。


・創意工夫を知る

仕事には
「言われたことだけをやった方が良い仕事」
と、
「創意工夫が必要な仕事」
があります。

家事はまず、毎日コツコツとやるべきことを真面目にやる必要があります。
でも、慣れて来たらどうにかして楽は出来ないかと工夫するようになります。
(主婦の発明品が多いってご存知ですか?)

家事は両方を学べるのです。
自分の仕事の傾向を確認することもできます。

・自己管理能力が付く

病気になられる方の中には、
ワーカホリック=仕事中毒の方もいらっしゃいます。
(実は私もこのタイプ)

限界を知らず、いつまでも仕事をしてしまって体を壊す。
それは自己管理能力がなっていないと言う事です。


はじめに一つずつと書きましたが、
今のご自分がどのくらい仕事ができるのかを見極めることはとっても大事です。
無理をせずに仕事ができるのはどのくらいなのか?
毎日の家事をしながらそれを確認して行きましょう。

・怠け癖と完璧主義のバランスをとる

怠け癖は誰にでもあります。
もちろん私にも。

でも、その一方で完璧主義でもあって、
だから、ワーカホリックに仕事をしてしまって体力も壊すし、
ブログの文章も長くなるのですね(笑)

どれを大切に丁寧にやって、どれを適度なところでやめておくのか?
その二つのバランスをとることは社会人としてとっても大切なことです。

家事はやろうと思えばいくらでもきりなく丁寧にできるし、
手を抜いてさぼろうと思えばそれもいくらでもできます。
だから、家事はそれを学ぶのに最適です。

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「前提として気を付けていただきたいこと」

・大前提として、いきなり全部をやる必要はありません。
私もうつ病克服時は子どもたちにご飯を食べさせ、
保育所に連れて行くだけで精一杯でした。

掃除も洗濯も、保育所で使うものの用意も、いっつもダメダメでした。

それでも、段々とできるようになっていきます。
焦らずに、一つずつはじめましょうね。

・強制しない事

負の恒常性の記事にも書きましたが、
強制することは逆効果です。
また、本人の決意が必要です。
くれぐれも強制はしないでくださいね。

・リハビリと言う意識を持つこと

これはあくまで社会へ出る前のリハビリです。
家事を「仕事」としてやりましょう。
プロ意識を忘れないでください。

*~*~*~*~*~*~*
まずは人間としての基本である衣食住をやりましょう。

いきなりお金を稼ごうとするのではなく、
「稼ぐお金に見合う自分」に整えてから社会に出たほうが、
むやみに自信を無くさなくて済みますよ。


それは魔法のようにはいかないけれど、
確実にあなたを社会復帰へ向かわせます。

その証明がここにいます。
昔の私は全くのダメ子さんでした。
うつ病、対人恐怖症、発達障害、HSP、病気や痛みだらけ、
疲れやすいし、体力ないし、だるいしって。
洗濯物にカビをはやしたことも1度や2度じゃありません。
その私が、今、「マメで働き者」と言われるようになっています。
毎日を積み重ねて行けば、必ずできるようになります。
だからこそ、お勧めします。

「弱い自分」には誰でも負けそうになります。

でも、大丈夫。
かなりダメダメだった私が出来ているんですから。
お互いに頑張りましょうね(^_-)―☆

※☆※☆※2015.9.17追記
10年近く闘病されて、余命宣告をされたこともある久恵先生から、
実体験からのアドバイスをいただきました。

「自分の食べた食器、脱いだ衣服を洗い場にしまう、
ということから始めて次は洗う、片付ける、
と段々に出来る事を足していきながら、体力を付けていくといいですね。
出来たら自分を褒めて喜ぶことが大切で、次はこれをしようとチャレンジしてみたくなります」


「朝日を浴びることも大切ですね。
時間は体内時計から」